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中学生の問題の間違え方ー守山区の中学2年生数学テストよりー

更新日:6月7日

目次


【知識があっても解けない問題があるのはなぜか】

「分かっていること」は普通に考えれば、テストで正答できて点数が加点されるはずです。

ですが、存外、一筋縄ではいかない場合があります。

下記に2つ原因を挙げます。


  1. 一つは、”ミスリード”が働くから

  2. もう一つは、「分かっている」と思っていても、定義や表記(漢字も含む)があいまいだったり誤解して覚えていたりするから


この2点について、ちょうどよい例がありましたので、この記事で事例を挙げつつ対策をご紹介したいと思います。

※問題は趣旨を損なわない範囲で、ほんの少し表現などを変更しています。


【中学生の数学のテストにおけるミスリードの例】

  • 「階級の幅を底辺、度数を高さとする長方形をそれぞれ書いて、度数の分布の様子を表したグラフを( )という。」

正答:ヒストグラム(正答率41.4%)


数学のテストで毎回ある一見なんの変哲もない用語確認の問題です。

ミスリードのやり方がお分かりでしょうか?トラップの誤答は「度数分布表」となります。

誤答した生徒さんの問題の見え方を下記に再現してみます。


  • 階級の幅を底辺、度数を高さとする長方形をそれぞれ書いて、度数の分布の様子を表したグラフを( )という。」


 

次の例に行きます。

  • 「各階級の中の中央の値を( )という。」

正答:階級値(正答率16%)


こちらも単に用語確認の問題です。ですが、正答率16%と、学校のテストとしては一番正答率が低い部類の問題となっています。

この問題のミスリードの仕方は分かりやすいですね。トラップの誤答は当然「中央値」です。

誤答の生徒さんの見え方、どうぞ。


  • 各階級の中の中央の値を( )という。」



【ミスリードが存在しない問題との正答率比較】

上記2つの例と素直な問題との正答率を比較してみます。


  • 「ヒストグラムの中点を順につないでできる折れ線グラフを( )という。」

正答:度数分布多角形(正答率60.2%)


  • 「各階級の度数の、全体の度数に対する割合を、その階級の( )という。」

正答:相対度数(正答率59.7%)

 

どちらも60%程で、知っている人はだいたい答えられたと思います。ミスリードありの問題の正答率が41.4%と16%なので、特に後者の問題で「知っていながら誤答を書いた」中学生がかなりの数いると推察できます。


【中学生の公立高校入試問題にもミスリードは出題される】

公立高校入試問題の資料1(ミスリードの例)

公立高校入試問題の資料2(ミスリードの例)

図はある県の最近の理科の公立高校入試問題です。(愛知県ではありません)

細かい説明は省きますが、地層の傾きについての問題であり、ものすごくオーソドックスな問題です。ただ、ここにもミスリードが存在し、そのために正答率はぐっと下がったと思います。オール5の子でも、間違い得る問題です。

県の集計資料には具体的正答率は記載がないものの、「凝灰岩層の広がりを考察し柱状図としてかく問題の正答率は低かった。」と記述があります。


図のみですが、逆にこの方がミスリードのやり方には気付きやすいかもしれません。

そうですね。読み取り資料は「道路面からの高さ」に対して回答の図は「道路面からの深さ」となっている点です。傾きを正確に読み取れても、高さから深さに変換して書かないと誤答となります。


【ミスリードへの対策

せっかく知識として持っている内容なのに、得点にできないはもったいないし悔しいですよね。「意地悪っ!」と思う人もいるでしょう。


その気持ちが対策の第一歩目です。

まず、テストを振り返らない生徒さんは多いので、その時点で既に差がついています。

さらに、その気持ちを強く心に刻んでおいて、毎回のテストで注意点として意識できていれば、ミスリードに引っかかる確率は、だいぶ下げることができますよ。


「ミスリードなんて、勉強と関係ないじゃん!」と思う人もいるでしょう。

はい、関係ないです。

でも、テストは<差をつけること>を目的としているので、このミスリードが便利なんです。


言いたいことは分かりますし、その通りだとも思いますが、現実に出題されるのだから対応していくしかありません。

今は中学生なので良いですが、大学生になっておかしな投資話などに引っかかったり、大人になって変なものを買わされたりしないようにする訓練、とでも思いましょう。


「ひっかけようとしてくる」と常に疑っておくぐらいでちょうど良いんです。


【定義や表記の曖昧さとその対策】

最後に、二つ目の失点原因と対策について話をします。


[定義や表記の曖昧さについて]

これは、テスト時の問題ではなく、テスト前の勉強の時の問題です。


  • 「階級の幅を底辺、度数を高さとする長方形をそれぞれ書いて、度数の分布の様子を表したグラフを( )という。」

正答:ヒストグラム(正答率41.4%)


最初に例に挙げた「ミスリード」の問題ですが、実は「表記の曖昧さ」を原因とする誤答が、(おそらく意図せず)頻出したようです。


誤答は「ヒストグラ"フ"」でした。これは、罠でもなんでもありません。

「棒グラフなんで、ヒストグラ"フ"でしょ」という覚える段階での勘違いによるものです。


このような準備段階での誤解は実はかなりあります。


  • 表記の曖昧さ(漢字)→擬人法の「擬」が「凝」「疑」になっている

  • 定義の曖昧さ→原子と分子の違い

  • 定義のと表記の曖昧さの合わせ技→tried(try過去形)とtired(「疲れている」という形容詞)


[対策ついて]

ぶっちゃけ、成績上位層も、"一回は"誤認したりするものです。

ただ、それをテストまで持ち込むかというと、そうではありません。


それをテストまで持ち込む人というのは、「ヒストグラフ」でも「凝人法」でも、ワークやプリントで丸つけちゃう人。これがまず第一段階です。

チェックがかかりませんので、当然そのまま失点まっしぐらになります。


丸付けをおざなりにやっていませんか?

いや、その前に、丸付けやってますか?


次の段階は、丸付けで間違いに気付いても、そのまま忘れてしまっている人です。

「あ!これ紛らわしいんだな。しっかり正しい内容で覚えておかないと。」と思っているか否かで差がつきます。

もっというと、問題を解いている際の”目的”を、きちんと「テストで点を取るための問題点の洗い出し」と思ってやれているかどうかです。


宿題や提出物を終わらせる、が目的になっていませんか?


まとめると、対策は下記になります。


  • 問題は、本番であるテストの予行演習であり、問題点を洗い出す目的で解く

  • 丸付けをきちんと行う

  • 紛らわしいものや曖昧なものは、間違えたその時その場で、正しい内容に上書き保存する


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