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【大問4は新傾向かつ高難度。しかし差がついたかは微妙なところ。その理由は?2024年度愛知県公立高校入試傾向分析~社会大問3・4(地理)】

更新日:6月8日


2024年度愛知県公立高校入試 社会大問3・4(地理) 傾向と分析

※この記事は【2024年度愛知県公立高校入試傾向分析~社会大問1・2(歴史)】の続きの記事になります


この記事では地理をメインとする大問3・4を細かく見ていきたいと思います。


大問3

(1)

問題種:推定

難易度:標準

→都道府県の特定。与えられた資料から海外線の長さ、冬の降雪量に合った選択肢を選ぶ。

☆地理範囲としては種別・難易度ともにありふれた問題。各都道府県の形状や地域が分かっていれば解ける。


(2)

問題種:推定

難易度:標準

→九州の都道府県の特定。牛肉・豚肉・鶏肉→(牛肉のみ北海道)・鹿児島・宮崎という定番の知識が問われている。地熱発電→大分もド鉄板ではないが標準的な知識。

☆以前からポイントになる知識の問題は引き続き出題されている。特産物のデータはちゃんと覚えておく。


(3)

問題種:地形+公民知識

難易度:易

→リアス海岸の形状とバリアフリーの意味を問う問題。どちらもかなり平易な知識で失点してはいけない問題。

☆リアス海岸は三重の志摩半島、東北の三陸海岸の具体例とセットで覚えておくべき基本知識。こちらも(2)と同様、問われている知識は変更なし。


(4)

問題種:地名知識+資料

難易度:易

→有明海の位置が分かっていれば解ける。ただ、明確な知識がなくても「対岸」というワードからイを選べる。知識不要と言える易しい問題。

☆地名と位置に関する知識も変わらず問われている。


大問4

(1)

問題種:資料+知識

難易度:難

→外国の都市の雨温図選択と日本における同緯度の線を選ぶ複合問題。どちらも正答で1点。雨温図は2択で、夏に乾燥=地中海性気候の知識で瞬殺だが、日本における同緯度が難しい。五大湖付近やスペイン南部、そして東北地方のおおよその緯度が知識としてあればスムーズに解けただろうが、そこまでの知識を持っている生徒さんは少なかったと思います。地味ですが、かなりの難問だったと思います。

☆雨温図は毎年出題されるが、緯度そのものの知識を問われるのは今まですくなかった。今後にもよりますが、日本と世界の同緯度の地域は過去問を通じて覚える必要が出てくるかもしれない。


(2)

問題種:地形

難易度:難

→こちらは明らかな難問。aアメリカ西部、bコンゴ盆地周辺、cインド北部から中部にかけて、南北での標高の推移を推測する問題。

標高の図の選択肢がア・イ・ウの3つがあり、そのうちaとcについて図を選ぶ。2つできて1点。

まず、アの図が低地でなだらかな図であるため、グレートプレーンズ=aのアメリカ西部!となってしまいやすいが、これは誤り。

グレートプレーンズはもう少し東だし、標高は西端では2000m弱、東端では500m強である。

問題の地域はもう少し標高が高くなるので、2000mラインを行き来するウが正解となる。

(西部は放牧というのは頭にある人は多かっただろうが、”高原”のイメージをもっていればうまいことウを選べたと思われる)

そして、cインドの関しては”インドの北はチベット高原”というのが知識としてあれば5000m級からストンと500mより下に落ちるイが正解だと分かる。

が、インドの学習時には、やはりインド国内の地形に目が行ってしまうので、イメージを持っていた人は少なかったと思われる。

地形=地名の知識が問われる、というのが基本だったが、今後は地図を立体的に捉えることが必要となることを示唆する問題。

☆明らかな新傾向の問題。今まで、地図を平面で捉える問題がほぼだったが、今後は立体的に捉える視点も必要になるかもしれない。GoogleMapなどを使って地形に注目して見るなどの学習が効果的と思われる。


(3)

問題種:地図

難易度:易

→瞬殺問題。こういうのが今までの定番だったのですが・・・。

リャマ、アルパカの絵の資料なので選ぶべき国はペルー。

イギリス、韓国、タイ、バングラデシュ、ペルーの中で、ペルーのみが南半球。資料の中で北極点からの距離が一番大きいものでOK。

タイ、バングラデシュ辺りが怪しい人でも、ペルー=高山気候が分かっていれば、イ:仏教=タイと分かり、イとオが南北位置が近いわりに大きく気温が低くなっているオ=ペルーと選べる。

☆メジャーな国に関する知識と位置の問題。通常の学習で問題なく正答できる。


地理部分総括


問題種の傾向

単一回答でなく、複数回答で1点というのは歴史と同じ。他方で歴史・公民の他分野との複合は①②よりも少ない。

以前と同様の傾向の問題ももちろんあるが、大問④の(1)(2)のような新傾向の問題も見られた。


難易度

難化

かなり簡単なものものあるが、差をつけるための問題の難度がかなり高かった。


対策

既存の学習に加え、日本と世界の位置関係や立体的な地図の捉え方など、新傾向への対策が必要だが・・・。

今回、2問難問があった。これが「差につながったか否か」は現時点ではなんとも言えないが、おそらく上位陣でも厳しかったのではないかと想像する。そうであるならば、間違えても差にはならない。

かといってここを取りにいく学習をするというのは、事前情報が少なく傾向が固まっているとは言えない状況なので、空振りに終わる可能性も十分にある。

現状では、<過去問を通じて、考え方を確認しておく>というぐらいが良いと想定します。


今後の予想と対策

全体としての難度はそれほど変化はなく必要な知識も既存の学習のやり方でOKです。

一方で、差をつけたいと作成された問題の難度の調整が、少しうまく行ってない気もします。

よって、大問④(1)(2)のような難しい問題は易化、他の問題は少し難化と予想します。


☆新傾向の問題が見られましたが、”結果的に”対策としては歴史と同じく特に変える必要はない、というか見返りから考えて旨味が少ない、と考えます。


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