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上手な勉強の仕方が分からない:中学生62.0%(2020年)→71.1%(2023年)。ここに対して大人はどう考えてどのようにアプローチをすべきなのか。

目次


勉強ノート

【データで見る矛盾点】

タイトルの数値は、当ブログやHPでも数多く引用している東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究「子どもの生活と学びに関する親子調査」2023年実施分からのものです。

※東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究「子どもの生活と学びに関する親子調査2023」については下記リンクからご確認頂けます。


ちなみに「勉強しようという気持ちがわかない」も同じ傾向です。

2020年:52.8%

2023年:63.1%


実は、この数値変化に関して、同調査のある事項と一見矛盾するポイントが存在します。

それは、子ども達の学習面に対する親御さんの関わりの方の変化です。

(データは全て中学生のものになります。小学生や高校生を知りたい方は、リンクから元の調査データをご覧下さい)

 

「勉強で悩んだときに相談にのってくれる」

2020年:62.8%

2023年:68.9%


「勉強の内容を教えてくれる」

2020年:55.3%

2023年:57.2%


「勉強の意味や大切さを伝えてくれる」

2020年:57.6%

2023年:64.3%


「勉強のおもしろさを教えてくれる」

2020年:33.5%

2023年:37.1%


「勉強の計画の立て方を教えてくれる」

2020年:46.2%

2023年:49.0%


「学校の宿題を手伝ってくれる」

2020年:46.7%

2023年:46.6%

 

「学校の宿題を手伝ってくれる」のみほぼ変化がありませんが、他の項目は全て上がっています。


保護者の方がお子さんの学習面に積極的に関わるようになると、「勉強の仕方」が分からなくなり、「勉強への意欲」が低下する。


一見すると、そういった読み取りとなります。


【データの解釈】

色々と解釈があると思います。


1.親とのかかわりとは全く関係のない変数が変化したことで、子どもは学習の仕方がわからなくなり、モチベーションも低下した。(相関なし)


2.親が勉強に介在することで、子どもは学習の仕方がわからなくなり、モチベーションも低下する。(直接相関)


3.親が勉強に介在することで、ある変数が変化して、子どもは学習の仕方がわからなくなり、モチベーションも低下した(疑似相関)


ざっと、こんなところでしょうか。

元データがないので、実際には何も特定しようもないです。


2020年と2023年なので、コロナという特異的な社会生活の状況から元の社会生活へと復帰したことも効いてそうだと推察はします。


いずれにしろ、研究発表待ち、ということになります。


【「上手な勉強の仕方が分からない」に対する塾屋の見解】

仮説に仮説を重ねるようなほぼ放談ではありますが、ここで塾屋的見解を提示したいと思います。


もし、「親が勉強に介在することで、子どもは学習の仕方がわからなくなり、モチベーションも低下する。」という直接相関があったとしても、これは学習面での正しい成長のプロセスだと思います。


大多数の中学生が【上手な勉強の仕方】ができているかというと、そんな訳ないんですよ。


だから、一回どころか、何回でも現状のやり方を否定して、改善していかければならない訳です。

その過程の中で【上手な勉強の仕方が分からない】となるのも、至極当たり前の状態だと考えます。

その結果、勉強面でのモチベーションが落ちても、それは必要不可欠な現象だと思います。


【子ども達が陥る非生産的勉強法】

もう少し噛み砕いて説明をします。

このブログでも、現場でよく見る中学生の学習方法を深堀する記事を書いてきました。



子ども達は「快」を求めています。

学習はほとんどの子ども達にとって「不快」です。


そのため、<なるべく負荷がかからずに周りや自分からのプレッシャーをやり過ごすことを第一目標とする学習方法の模索>に走ります。


<全く学習行動をしない>という”勇気”を、多くの子ども達は持ち合わせていません。

なので、「体裁なぞり学習法」や「アリバイ確保学習法」で自分の時間を犠牲にすることで、外的または内的要求と交渉をして”妥協案”を採用します。


【非生産的勉強法の具体例】

具体例を紹介しましょう。


テスト前の授業があり、翌々日のテストは英語と数学でした。

集団塾から転塾間もない生徒さんで、学習習慣と既存学習内容を含めて一から立て直しが必要な生徒さんでしたので、あれもこれもはできない状況でした。


数学のテストが利用単元と計算単元でテストが構成されることから、利用単元の多くは捨てて計算単元を固める戦略を共有しており、授業では英語にフォーカスして実施しました。


ターゲットは、範囲の単語・熟語・新出文法を使った並べ替えの3点です。

一週間前から宿題として出していましたが、まだ1/3程しか進んでおらず、精度もさっぱりな状態でした。


授業で扱いましたが、80分を使っても6つある単元の内、1つぐらいしか進みませんでした。(当然、単に解くということではなく”正確にスムーズに解ける”という状態を一旦作るという作業にかかった時間です)


単純計算で5単元×80分=400分かかる計算でしたので、午後の早い時間に塾に来て続きを行うように話をし、本人もそうしますという返事でした。


翌日、きっちり来ませんでした。


この時点でどうなったかはお察しなのですが、後日その日の生徒さんの行動を答え合わせしました。


【生徒さんの犯行の供述】

1.一時間程、英語の続きに取り組んで後、通しで解いてみたがかなり漏れがあったので、英語は捨てた。


2.数学に移り、計算単元を解いて「解ける解ける」と確認。


3.利用単元も解いたが、「丸つけをした後放置」した。


【私のアンサー】

1.前日の授業80分で1単元をこなすのが精いっぱいだったのに、なんで1時間で5単元を済まして全問チェックまで進んでいるのか。そりゃ漏れるだろうよ。


2.そりゃ解けるよ。そういう準備したんだから。なんでそこに時間使っちゃったのよ。


3.何目的なのよwww


【総括】

私:結局、どれぐらいの時間勉強してたの?

生徒さん:4時間ぐらい。

私:それで、テスト前の半日を使って、何点加点できたと思いますか?

生徒さん:0点です。

私:なんでそんなやり方しちゃったの?

生徒さん:英語が嫌いだから、逃げたかったんだと思います。

私:正解。授業の時点で懸念してたよ。だから塾でやりなって言ったんだよ。


というように、「体裁なぞり学習法」と「アリバイ確保学習法」がさく裂しているのがお分かりになると思います。


 【対症療法と原因療法】

実は、私にはもう一つ選択肢がありました。

それは、数学と英語のテスト前日に、親御さんに連絡をして本人に塾に来てもらうよう伝えて頂いて、私の監視の下で英語の学習を行ってもらうという選択肢です。


それを敢えてやらなかったのは、やはり「生徒さんが自分の行動を振り返る材料」を提示しかったからです。

今回のテスト限定で言えば、もう一つの選択肢を採った方が、幾分か加点ができたと思います。

しかしそれは短期的な対処療法に過ぎず、先にはつながっていきにくいと思うのです。


たしかに、次回この生徒さんが今回の経験を活かして「体裁なぞり学習法」と「アリバイ確保学習法」を自覚して、意識的に抑え込めるかの保証はありません。


ですが、塾に来させる選択をとると、素の状態で「体裁なぞり学習法」と「アリバイ確保学習法」を実施してしまう状態が隠れてしまい、温存されることになります。


今回のように、自身の行動とその結果をきっちりと確認してもらい、経験として蓄積してもらった方が、本人の意識を変化させるという意味で、根治を目指す原因治療に寄与する確率は高いはずです。


「体裁なぞり学習法」と「アリバイ確保学習法」を行っている段階で『上手な勉強法が分かる』と思っている状態よりは、『上手な勉強法が分からない』と感じている方が変化の余白があるという意味で良い状態だと思う訳です。


 【上手な勉強の仕方は世に溢れているのに7割以上の中学生は分からない理由】

そもそも、『上手な勉強の仕方』とはなんでしょうか。


自分の経験を振り返ってみて、勉強の仕方を習った覚えはありません。

覚える/理解するという2点に置いて、普通に考えてこうした方が良いな、ということを試してみて、改善点があったら変更して効果を見てみる。

こういうことを繰り返して『勉強の仕方』が作られていくのではないでしょうか。


この『上手な勉強の仕方』は、書籍やネットに情報があふれています。

ですが、7割以上の中学生が「上手な勉強の仕方が分からない」訳です。


私自身の考えでは、「目的を考えたら普通こういうことするよね」っという意味で勉強法はあります。

それは、巷にあふれる『上手な勉強法の仕方』とたぶん似たようなものになります。


何が言いかと言うと、「入試や定期テストで得点を取る」ということを大前提として目的にセットできれば、おのずと勉強法は固まってくるということです。


多くの子どもたちは「体裁なぞり学習法」や「アリバイ確保学習法」を採用していますが、「入試や定期テストで得点を取る」に目的がセットされていないのは明白です。


この状態の子ども達に『上手な勉強の仕方』を一生懸命訴えてみても、毎日外食生活の人に、効率的な自炊の方法を一生懸命説明してるようなもんです。


だから、「入試や定期テストで得点を取る」へ子ども達の目的意識を変化させていくアプローチが必要だと思います。

「面倒だけど節約にもなるし、自炊やってみようかな」って状態に、まずはなってもらわないと話が始まらないということです。


 【「上手な勉強法が分からない」に対して大人がどうアプローチするのかのまとめ】

まとめます。


「上手な勉強の仕方が分からない」という状態は「上手な勉強の仕方」への改善の余白がある状態と言えるため、むしろ健全である。


だが、「上手な勉強の仕方」へ改善していく流れを作るためには、大人のサポートがあった方が良い。


なぜなら、多くの子ども達にとって勉強とは「不快」であり、子ども達は「快」を求めているため、「体裁なぞり学習法」や「アリバイ確保学習法」へと妥協をしやすいからである。


「入試や定期テストで得点を取る」という目的を意識させ、その上で勉強の仕方を見つめ直す機会をできるだけ提供することが、大人ができるサポートだと思われる。


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