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【平均+25点でも・・・「3」なの!?】
これは昨年度の話で、実際にあった話です。
中学1年生のAさんとBさん。どちらの生徒さんも平均点に対して+25点ぐらいでした。
そして、通知表の評定はAさんは「5」、Bさんはなんと「3」です。
Bさんが提出物を出していないなどがあるんじゃないかと思われるかもしれませんが、そんなことはありませんでした。
授業態度というのは塾側でも把握しようもないところなので分かりませんが、Bさんも空気を読めない子ではなく、大きなマイナスが付くとは考えにくい生徒さんです。
そして、2年生になるとBさんの通知表には「5」がついていました。
テストの平均+25点は変わっていません。
ただ、担当の先生は変わりました。
【2年生までは「3」だったのに、3年生で「1」に急落】
一方で、不可解に3年生で通知表が急落したケースもあります。
中学3年生から指導に当たった生徒さんですが、2年生の頃は苦手教科ながら「3」をとれていました。
ただ、点数を聞くと「1」か「2」が妥当なところで、どうして「3」をとれているのか謎でした。
3年生になり”テストの点数に変化はない”ですが、通知表は「1」が付きました。
【3年生になると評定における定期テストの点数の重み付けが変化するのでは?】
どちらも、定期テストの点数や提出物に大きな変化はないものの、評定が大きく変化したケースとなります。
にわかには理解し難く「なんで?」と思ってしまいます。
前者のケースでは、定期テストにおける点数の割に評定が低かったが、評価者が変わったことで定期テストの点数に近しい評定に変化したと言えます。
後者のケースでは、定期テストにおける点数の割に評定が高かったが、3年生になったことで定期テストの点数に近しい評定に変化したと言えます。
2つのケースから、個人的に以下の2点を仮説としてもっています。
1.2年生までは評定における定期テストの重みが低い、もしくは評価者による裁量の余地が大きい
2.3年生からは評定における定期テストの重みが高く、評価者による裁量の余地が小さい
どちらも外部の身で確認することは難しいのですが、”経験的に”かなり的を得ていると思っています。
【3年生における評定で考えておかなくては3年生になった時に手遅れになる危険性がある】
前項の現象において、実際に起きている問題がこれです。
後者の2年生時に「3」から3年生で「1」の評定となったケースは、はまさにこれに当てはまります。
冒頭の前者のケースと後者のケースのどちらもがありますが、やはり危険なのは後者のケースです。
生徒さんも保護者の方も、2年生の通知表の評定をもとに、3年生の評定を考えると思います。
ところが、1学期を終えて蓋を開けてみると、大きく内申点が下がっている状態が出現するのです。
「え!?どうしよう!!これじゃ志望校を受けられない・・・」
こういう心情になってしまうのも無理なからぬことだと思います。
しかも、残されたチャンスは5科目は2回、4教科は1回のテストです。
(なお守山東中学は音楽と美術のテストを今年(から?)は実施していません。)
こうなってしまうと、かなり挽回は難しくなってしまうのは想像に難くないと思います。
特に、評定「3」を下回ってくると、進学先自体にかなり制限がかかってきて、ほとんど選択肢がないという状態になります。
そういう意味で、このケースの中学2年生というのは鬼門であり、テストの点数の割に評定が高い生徒さんは、一度テスト基準での評定に換算し直して、対策を考えることをお勧めします。
当然、テコ入れが必要な場合3年生からでは間に合いません。
冬からでも厳しいです。夏か、せめて秋には動き出して欲しいと塾屋の立場では考えます。
逆に、前者のケースの場合は、現状の評定に惑わされずに3年生時の評定に換算して進路を考えるべきだと思います。
【愛知県の公立高校受験生の通知表の評定分布割合】
では、3年生時の定期テスト重視の評定のつけ方だとどうなるのか。
ダイレクトな資料ではありませんが、愛知県の教育委員会が推測に使えそうな評定に関する資料を発表していたので調べてみました。
資料は、各年度の「愛知県公立高校入試受験者の評定の各評定の分布割合」となります。
ほぼ、そのまま愛知県の公立中学校の通知表の各評定の分布割合と読み替えて問題ないと思います。
「評定5」
5科目でいくと英語が15・0%を超えており、次に社会が15.0%弱と割合が高くなっています。次に数学理科が14.0%前後となり、国語が例年一番割合が低く13.0→13.3→13.8%と推移しています。
相対評価は7.0%でしたので、数国理は2倍、英社は2倍強「5」が取れるようになったことになります。
4科目の方はやや割合が下がり、11.0%弱から13.0%弱に分布しています。令和3年度から令和4年度で5の割合が1.0ポイント弱、保険体育は2.0ポイント弱上がっており、偶然の上昇か基準の変更なのか、少し気になる数字です。
「評定4」
5科目でいくと、ザックリ20.0%という感じです。英語が約1ポイント低く、数学は逆に1~2ポイント程高くなります。
英語の場合は他科目だと「4」の生徒さんが「5」になっているためだと思います。数学は他の科目に比べてやや「4」のレンジを広くとっているように思えます。他科目で「3」が一部「4」に引き上げられている感じです。
相対評価は24.0%でしたので、「4」の割合は減っています。
4科目でいくと、「5」が辛いため「4」の割合が5科目に比べて高くなっています。
ただ、「5」のところで触れた通り、令和4年度から5の割合が増えた結果、4科目での「4」は減少し、20.0%に近づいています。
「評定3」
5科目の目安は、だいたい40.0%というところでしょうか。英語と数学は1.5ポイント程「3」の割合が少ないです。逆に国語は43%台で推移しており「3」の割合が多目です。
相対評価だと38.0%でしたので、「3」の割合は増えています。
4科目の割合は46.0~47.0といった感じです。やや保健体育が高めに出ています。また令和4年度の変化は「5」と「4」の中での線引きの変化で「3」には特に影響がないことが分かります。
「評定2」
5科目は、ざっくり15.0から16.0%です。英語が1.0ポイント程高い傾向があります。
令和4年度に気になる変化が起きており、全体的に「2」の割合が1.5ポイント前後減って、その分「1」に回っています。
相対評価だと24.0%なので、かなり割合は減っています。
4科目の割合は12.0から13.0%という感じです。先述したように保健体育は「3」の割合が多い分「2」の割合が他教科よりも低目です。
なお、5科目と同じように令和4年度に「2」の割合が減り「1」の割合が増えています。
「評定1」
5科目は、9.0%前後です。英語は「2」が少ない分「1」に回っている印象です。数学も高めです。英数は差が顕著に出やすい科目と言えます。
また、先述の通り令和4年度では「2」の一部が「1」に回っていることが確認できます。
相対評価では7.0%でしたので、2.0ポイント前後の増加です。「5」が大幅に増えたのに比べれば増加幅は少ないです。
4科目の割合は7.0%前後という感じです。先述の通り、5科目同様令和4年度に「2」の一部が「1」に回っています。
【各評定の分布割合から分かること】
5教科と4教科、その中でも各教科で若干差はありますが、基本的に各評定において一定割合が安定していることが分かります。
「絶対評価」といえど、平均点を基準としているのは間違いないと思います。
その上で、各テストを見ていると、調整がうまくいかず、得点分布が固まってしまうケースも良くあります。
そういう実態も考えあわせると、やはり、表で示されている割合を”意識して”評定を付けていると予想します。
”意識して”というのは、かつての相対評価ほど厳格な運用ではなく、ある程度の幅をもって割合の基準に近づけているのではという予想です。
愛知県における「絶対評価」とは「各評定の割合を見直した上で評価の境目を緩めた相対評価」というのが個人的な予想です。
一方で令和4年度の「2」を減らして「1」の割合が増えている現象は興味深いです。
各評定に「割合の基準があるとして」、その基準自体も変化をするという仮説が出てきます。
こちらは、以後のデータを見つけられれば検証ができるかと思います。
【3年生時の各評定の分布割合から1、2年生の評定を受験時の評定に換算する】
やり方はシンプルです。
学年順位を学年生徒数で割って、どの評定に当てはまるかを確認するのみです。
ただし、当然授業態度や提出物の評価は加味されることは忘れないで下さい。
あくまで、<評価の大部分を占める部分の計算>という理解でお願いします。
1,2年生の間は、学年順位を通知する学校とそうでない学校があります。
例えば守山中学校は通知しますが、守山東中学校は通知しません。
(この違いについても自分なりの勘ぐりがありますが、それはまた別の機会に)
通知がない場合は、担当の先生に聞くことで教えてもらえることがほぼだと思いますので、計算をしたい場合は先生に尋ねるようにしてください。
【何事も転ばぬ先の杖】
本記事は塾講師としての経験からくる仮説で書いた記事です。
そのため、実際はどうなのか、当然分かってはいません。
地域によって差もあります。
実際に千葉県の令和5年度のデータでいくと、「5」と「4」で5割近くを占め「2」と「1」が約1割しかいないようです。
ですが、冒頭に紹介したようなケースは良く見るケースですし、特に後者のケースの場合は想定していた進路が急に非現実的になり、そこからのリカバリーも不可能となるケースが多いです。
大事な進路に関わることですから、慎重になっておくことに越したことはありません。
該当する方は、一度「評定の換算」を行っておくことをお勧めします。
【守山個別塾ーモリコベ!ーと関連情報について】
名古屋市守山区にある<プロ講師が教える個別指導塾>「守山個別塾ーモリコベ!ー」のブログです。
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